A:求職の傭兵 醜男のヴォガージャ
傭兵の職を求めて、はるか西方の新大陸から渡って来たものの、雇い主を見つけられなかったマムージャ族傭兵がいる。
「ヴォガージャ」という名のこの傭兵は、職が得られないのは、自分が醜男だからなのかと激昂。
手当たり次第に、リムサ・ロミンサの民を襲っているらしい。
~手配書より
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ショートショートエオルゼア冒険譚
エオルゼアの遥か西方に位置するトラル大陸。南北に長いトラル大陸は南部と北部では言語も文化も全く違う。そんな大陸だから常にあちこちで争いが起きる。だから幼体の頃から蔑まれ、自分の見た目にコンプレックスを持つヴォガージャは争いを飯の種に出来れば食いっぱぐれはないと考えて傭兵になる事を選んだ。幼い頃から腕っ節にはそれなりに自信があったが、上には上がいる事はりかいしている。それでもそれなりの評価は得られると思っていた。だがちっとも目が出ずいつまでたってもその日暮らしで安定した稼ぎは得られなかった。
そんなある日エオルゼアの話しを聞いた。エオルゼアの事は聞いたことがある。遥か東方のアルテナード小大陸にあり、人間族中心の文化を築いている。非力な人間族が統べる事が出来る社会の武力などタカが知れている。だとすれば人間族よりも体格も力も秀でた自分がエオルゼアに渡ればきっと最強になれる。そうすれば安定した暮らしも夢では無い。そう信じて海を渡った。
だが、現実はそう甘くはなかった。
トラル大陸では兎も角、そもそもエオルゼアではマムージャ族は一般的な種族ではない。見た目以前に海を渡ってきた価値観も習慣も違う見慣れない種族をホイホイ雇い入れるような物好きはいないのは普通の事だ。
だが自分の見た目に強いコンプレックスを持つが故にそれが原因で自分が排除せれているかのように受け取ってしまっている彼の気持ちも分からないではないが、だからといって他人を傷付けていいという理屈はない。それに「僻み」という感情はそれを前面に押し出されるとどうも他人の神経を逆撫で性質があるようだ。その感情を素直に、すごく噛み砕いていうなら「あんた馬鹿じゃないの?」と溜息を吐きながら言いたくなってしまう感じ。そして我慢して黙っていたあたしはつい口を滑らせてしまった。
「見た目が美しい、醜い以前に自分の劣等感を理由にして他人を傷付けるあんたは十分醜いわよ」
その言葉は思った以上に彼の劣等感に火をつけたようだ。ヴォガージャはまさに剣を交えていた相手にぐるっと背を向けると猛烈な雄叫びを上げながらあたしに突っ込んで来た。